辻仁成 – クラウディ

この人の本はいつも衝動的。破壊的。刹那的。行間ににじみでる苦悩や感覚のズレ、そういったものに病的なまでに固執しているのか、苦しいとともに哀しくなってしまう。

もう自分の中では過ぎ去ってしまった30歳という年齢だけれど、たしかにその頃はなにかわからない焦りに悶々としていたような気がする。そういった気持ちが実に絵画的な視覚的な聴覚的な方法によって描かれている。

人生をリセットする・・・・・机上の空論なのか、実現可能な夢なのか?

集英社 1993

辻仁成 - クラウディ
辻仁成 – クラウディ

辻仁成 – パッサジオ

久しぶりに辻氏の本を読んだ。古本で買ってたやつ。

なんかコノ人の本を読んでると、何故にそんなに破壊的かなーと思うことが多いのだけれど、この本の場合は穏やかに壊れる感じだったので、しんどくなくてよかった。

しかし色彩的だ。本人の意識の奥底へ落ちていくような描写のとき、きっとこの人が書くスピードと同じ速さで読まないと、感覚的に理解しにくい個所がいくつかある。前にもこんな描写あった。どれだったっけな?

すっと読める感じでよかったけれど、こう、どこか引っかかったまま、引きずったままの感覚がのこる。そういうひとなのだろうな。

文芸春秋 1998

辻仁成 - パッサジオ
辻仁成 – パッサジオ