ひさびさにレビュー。江国さんの本はとにかく読むのに時間がかかってしまう。いや、難解だとか、やたら分厚いということではないのだけれど、前から思っているように、この人の文章はとっても行間が多くて、ひとつのシーンを読むのに想像力をフルに生かして(というと聞こえはいいが、たんにぼーっとイメージが沸くのを待ちながら)読むので、時間がかかってしまうのだな。他にもそういうひといる?
主に男女2組の恋愛模様+まわりの人、という構図で描かれる、なんでもない毎日の情景なのだけれど、もしかすると話がすーっと通らないのを好まない人には、この話はいーーっってなるかも。あまりにも何も起こらないし、ほとんど進展しないから。ありふれる日常。
でも、江国さんの文章はそのなかでのほんとこまやかな、コトバで表現するのがとっても難しい、ほんとちっさな感情や気持ち、様子などを、もっと違った直接的でない、狙ってもない、ちょっとした情景描写なんかを紡いで描くので、確かに「そうそう」と思えることばかりなのだけれど、それを読み取るのが難しいように思える。でもそういう表現方法がいちばんあってるよな、と読みながらに思う。
ゆっくり読む本だ。