すごく久しぶりに乙一さん。今回も短編集だけれどどれもやはり面白い視点というか物語の切り口で面白く読めた。
時空間のずれた相手からかかってくる電話「Calling You」、交通事故で右腕以外の感覚がなくなってしまった男とピアニストである妻の物語「失はれる物語」、他人の傷や痛みを移す能力のある男の子「傷」、魔がさして泥棒しようとした男の顛末「手を握る泥棒の物語」、みえない女性と子猫の物語「しあわせは子猫のかたち」、ほほえましい短編「ボクの賢いパンツくん」、怖い恋「マリアの指」、嘘の彼女「ウソカノ」。
今回の本は怖い話はひとつぐらいで、あとはじんわりくるいいお話ばかり。とくに好きなのは「失はれる物語」と「ボクの賢いパンツくん」かな。ほほえましいし。
このひとのもっと違うタイプの本も読みたいなぁ。
角川文庫 2006