すずめの戸締まり

久しぶりに映画館で映画を見た。先月半ばに札幌行った帰り、時間があって新千歳空港の映画館で。新千歳空港には映画館とか温泉もあるのよね。

先日テレビで細田監督の「竜とそばかすの姫」が放映されて、その時にこの「すずめの戸締り」という新海監督の新作映画の冒頭部分が流れてとてもおもしろそう!観たいなーと思ってたのだけれど、全然時間がなく。でも今日空港でぽっかり時間が空いたので観に行った。

高校に通う主人公鈴芽(すずめ)が、ある日イケメン(宗像草太)に「この辺りに廃墟はないですか?」と声をかけられる。言ったものの気になった彼女はその廃墟に彼を探しにいくが見つからず代わりに不思議な扉を見つけるのだが、その扉を開くと美しくも不思議な世界が広がっていた。そしてその時猫のような石を拾う。

その後軽い地震があったとき、その廃墟から不気味な物体が出て来るのを見て、慌ててその場所へもどった彼女は先ほど出会った男がその扉を閉じようとしていた。その扉は常世に繋がっており、ミミズと呼ばれる地の歪みのエネルギーからなるものがでてくると地震が起こるらしく。それらが出てくる裏口を閉じるために「閉じ師」という人々がいるという。彼は猫に呪いをかけられ椅子に憑依させられてしまい、一人では満足に仕事ができないこと、そして鈴芽自身の子供の頃の体験がその扉に繋がっていると感じ、彼の行動を手伝うようになる。

その冒頭部分を見たときはもっとファンタジーぽいものなのかなと思っていたけれど、すごくリアルな世界だった。ほんとこういうことがあるのかもと思ってしまう。鈴芽が恋に落ちるのが早すぎるけど^^; 宮崎から船で八幡浜、そこから車で神戸、新幹線で東京、やがて車で東北という道のりがとてもよく知っている景色のとこばかりで嬉しくなったり。ああ、ここどこそこだなーって分かる(四国は普通なら高速走るだろうに今治通るルートになってたのが不思議だけどw)。

福島では双葉町あたりの国道6号線の景色を出したり、その先にずっとつづく海岸沿いの高い堤防の様子が描かれていたり、冒頭のシーンで建物の上に船が乗っている回想シーンで想像してたけど、11年前の東日本大震災と津波が大きなキーになってて、途中で宗像が扉を閉じるために「その場所で生活していた人のことを想像して」という言葉と相まって、、、胸がとても苦しくなった。泣きはしないけれど、無念というか、、、想像を絶する。でもよくこのリアルに衝撃的すぎる過去をいま描いてくれたな、思い出し、憶えていられるように出してくれたなと思う。

ちゃんとは覚えてないけれど、宗像がいう「我々の寿命は短いことはわかっているけれど、それでも少しでも長く生きたいと願っている。1年でも、1日でも長く」という意味のセリフが刺さってきた。普段はまったく意識していないけれど、本当その通り。神戸の震災の時に明日は全くわからないものだと痛烈に感じたのと同じことを言ってくれた。もちろん東北の震災でも同じ思いをした方はたくさんいるだろう。

友人の芹澤が車で東北へ出発するとき、荒井由実の「ルージュの伝言」をかけるところでニヤっと。「旅立ちにはこの曲」とか「猫もいるし」というセリフはジブリの「魔女の宅急便」を見たことあるって設定よね。しかも彼は2022年で大学生だから、再放送とかDVDとかで見たってことよね。僕たちが子供の頃にわーーって思ったことが、引き継がれているって描かれてるのが嬉しくなるし、映画が現実と地続きになってる感じがつよくなる。まあ彼の場合その後も昭和歌謡たくさん流してたから、それが好きなのかもだけれど。画面に懐かしい曲がたくさん出て来てうれしかったな。最初の方の追っかけっこのシーンで流れるビッグバンドだけが、なんか異色だったけれどねえ。でもこれはもしかしたら「カリオストロの城」へのオマージュかなあ?ということは全体的に宮崎駿監督への何かがあるのかな?

なんにせよ、そんな数見てないけれど新海監督の映画の中ではシンプルな作品な感じがする。でもシンプルなだけに伝わって来やすいのかも。よく取り上げられる空や風景の描写の鮮烈さは控えめな感じで、ストーリー描写や言外の部分に力を込めたのかなあと思う。いい映画でした。家でもまたじっくり見たいな。

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