栗本薫 – 鏡の国の戦士 (グイン・サーガ 外伝22)

外伝22巻。このところナリスだなんだと主役グイン以外の外伝がつづいたが、今回の主役はグイン。しかも、外伝第一巻「七人の魔導師」以降のお話とく りゃー、わくわくしてたまりません。またこの物語の中でも、まだでてきていないであろうエピソードのヒキがあったりして、いったい本編はどうなるのだーと 想像が膨らむばかり。生きてるうちに書き終わるんかな?(笑)

なんせ初期の作品のような匂いを久しぶりに味わいました。

早川書房 2007

鏡の国の戦士
鏡の国の戦士 – Amazon

栗本薫 – 水神の祭り (グイン・サーガ115)

115巻。タイスの水神祭がいよいよはじまった!そのなか繰り広げられ始める闘技会。一座の運命は・・・・。なんて予告風に書いてしまったりして(笑)

なんせ、お祭りがはじまったもんだから、文章もえらいにぎやか、行間から屋台の香りしそう。しかし描写の字がおおいぞー苦笑。しかしすこし見えてきたとはいえ、タイスからの脱出劇はいったいどのタイミングで行われるのか?読んでるほうも不安。

でもガンダルVSグイン、読みたいなぁ。

早川書房 2007

水神の祭り
水神の祭り – Amazon

望月諒子 – 呪い人形

望月さんの3作目。めちゃ分厚い。

どオカルト的なタイトルだけれど、それだけの話ではなく(というか、ぜんぜんオカルトではない)、今 の時代にある、たくさんのさまざまな人間たちの悲哀を描いている。そしてなによりも、いろんな社会問題をもうまく織り込んでいて、中盤までは、いったいど こに視点をしぼったらいいのかわからなく(登場人物も多いし)なるほど、物語も複雑になっていく。しかしそれらの中心にずっとある呪いの影・・・・。

実際呪い殺すことができるのかどうかわかんないけれど、殺したいと呪うひとはいるだろう。でも呪うのと実際に殺すのは、やはりちがう。死に値するほどの悪だと思っても、本当に死ぬべきかどうかなんて、誰にも判断できない。だから躊躇するもの、他方殺すもの。

いろんな倫理観に疑問をなげかけまくる、面白い作品。すっと読む本ばかりじゃなくて、こういうごつごつした本も読むべきだ。

集英社 2004

呪い人形
呪い人形 – Amazon

有吉佐和子 – 不信のとき

最近ドラマになってたようだけれど、この作品が新聞に連載された後にドラマ化したやつみたいなー。最近のじゃ、きっとこの作品の雰囲気でないもん、絶対。

昭和30年代から40年代ごろが舞台の愛憎劇。さる会社の男とその妻、銀座ホステスであるその愛人、そして男の呑み友達である初老とそのお抱えの小娘。こういう話は昔の方がよくあったんだろうか?

最 後まで読んで、その話のどんでん返し感にもびっくりだけれど、そこまでにいたる男女の思惑、たんにどろどろしたということではないリアルな愛憎、男と女の 見えない駆け引き。やはり女は強し、か?いざとなると腰が据えられるのはやはり女性なのか?ちゅうか女性こわい、と思ってしまう。

しか し作者の男性、女性を問わない心理描写は見事。作者男なんちゃうか?と思ってしまえるほど、男性には主人公もしくは初老の男の言動心理はよくわかるだろう し、また妻、愛人とう女性側の言動心理もなるほど女性ならではのもの。あまりにも両者リアリティがありすぎて、読み進むほどに心苦しくなってしまう。ドキ ドキとはちがって、主人公への心理的圧迫感がそのまま読者にまで伝わってくる。恐ろしい。

結局結論はうやむや、というか、本当のところはどうだったんだろう?男性情けなし。うろたえるまえに己が病院もう一度いって検査したらええやんけ!と何度思ったか。

面白かった。

新潮社 2006

不信のとき〈上〉
不信のとき〈上〉 – Amazon
不信のとき〈下〉
不信のとき〈下〉 – Amazon

江國香織 – スイートリトルライズ

ちょっと変わった夫婦、そう、ひととのつながりが少し不得意な2人、の物語。単にその夫婦の愛の形、そしてそれぞれの浮気の形、という話だけにはとどまらない。

江國さんの本にしてはすいすい読める本だった。それともこのひとの文章に慣れてきたのか。いつもよりこまかく描写してるからだろうか。しかしこの人の文章ででてくる「ずぼん」てひらがな、めちゃ江國さんぽいと感じるのよね。

そういった夫婦の少しずつ変化する日常を描きながら、すこしずつウソをついて、そういうウソがあったことを思い出す。それは必要なことなのか、そうでないのか。この物語を通して人生の含蓄をたくさん語っているように思う。

好きな台詞
「なぜ嘘をつけないか知ってる?人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに」

幻冬舎 2006

スイートリトルライズ
スイートリトルライズ – Amazon

よしもとばなな – デッドエンドの思い出

ひさしぶりのばなな。

あとがきでも書いてるように、彼女自身も、僕も、一番最後に収録されている表題でもある「デッドエンドの思い出」という短編がとても気に入った。

悲 しいちょっとおどじな女の人の話だけれど、失恋して落ちこんでいるときに生きるヒントをくれる西田君という男の子の有り様がとても心に響く、というか、こ んなひとがいたらほんと幸せな気分になるだろうなーと強く思った。こういう人に憧れるけれど決してこんな人にはなれないだろうなーと思ってしまうのがくや しい。でも友達にいてほしいタイプやなー。

他の3編もあわせて、全4編とも女性が主人公。どれもテンションたかくなく、普通に生きていて、喜んで悲しんで、そんな人間模様が、ちょっと弱った心にやさしくしみる。

文藝春秋 2006

デッドエンドの思い出
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アーサー・ゴールデン – さゆり

去年だかいつだったか映画化されて話題になった(チャン・ツィーが主演だったっけ?)作品。外国人が書いた花柳小説として話題にもなった。

な によりも昭和初期から終戦後にわたる時代の舞妓さん・芸妓さんたちの日常が事細かに描かれていて、それだけでも読んでいておもしろい。もちろんこれは「さ ゆり」なる芸名の芸妓の半生をつづったフィクションの小説なのだけれど、かなり詳細に下調べしたようで、その時代時代の人間模様が手に取るようにわかる。 また小川さんの訳がとても適していて、京ことばのうつくしさがよくわかる。

どうしても芸者やら花魁やら、とかその世界こととなると、確 かな知識なんてなく、誤解やら(外国人にも日本人さえも)へんな認識ばかりが先行してしまいがちなのだが、アーサー・ゴールデンのこの文章からはそんなこ とはみじんも感じられず、こういう世界に対する愛情さえ感じる。こういう文化を生み育んだ国の人間としては、ほんと頭の下がる思いだ。

し かしこれが祇園の花街の世界どす、というわけではなく、100人いれば100通りの世界があるわけで、これをよめば花街やらお茶屋さんのことがわかるわけ ではない。でも思っていたのとは全然違う、人間くささやらおかしさ、そしてそのすばらしい文化、芸の世界についてもっと知りたいという気持ちをかきたてて くれる。上下巻一気読みした。すばらしい。

文芸春秋 2004

さゆり〈上〉
さゆり〈上〉 – Amazon
さゆり 下
さゆり 下 – Amazon

田口ランディ – オクターヴ

届いた手紙を唯一の手がかりに、バリに友人を捜しに行く小説。そこでの1週間の滞在中にいくつもの神秘的な体験をし、自らを解放するというお話。

単 なる小説としてではなく、バリに興味があったり、バリの人たちがどういう風に考えてるのかとかを知りたい人が読んでもきっと面白いと思う。実際こういう風 にはっきり書いてる小説ってのはないんじゃないかな?あまりにも違う、現代(西洋文化)社会との価値観、システムの違い。

いまの世の中 ははっきりいって大半が西洋人というか白人たちが生み出したシステム=価値観で動いている。それは便利で快適だけれど、それらが導入されるまで存在したほ かの(日本も含む東洋的文化も)文化を淘汰し標準化、客観化してしまった。いいことなのか悪いことなのかはわからない。けれどもそういったものをもってい た人間たちの能力は失われたり、影をひそめてしまったりしてしまった。

小説では絶対音感をその象徴として扱っている。音楽教育を受けた 主人公が身につけている絶対音感(=暗喩としての西洋的社会システム)が、ガムランやバリの自然の神秘に触れることにより崩壊し解放されることにより自分 を取り戻す(=今の社会システムの中での自分の立ち位置を再認識する)。

確かにいまの社会ではその仕組みや価値観からはみだすものは排 除されたり、本人の居心地が非常にわるかったり、どこかに矛盾やひずみが潜んでいる。もしかするとそれは血として引き継ぐものからの抵抗なのかもしれな い。あまりにもあたりまえに受け入れてるいまの社会のありかたがいいのかどうか?なくしてしまったものはなにか?そんなことを考えさせられてしまう、そう 思える小説だと思う。

この本からたくさんのヒントをもらった気がする。

筑摩書房 2007

オクターヴ
オクターヴ – Amazon

栗本薫 – もう一つの王国(グイン・サーガ 113)

のっぴきならない状態になってきたグイン一行。いよいよタイスから逃れられなくなり、ガンダルとの対戦がせまる。この巻もグインが活躍してくれてうれし い。ガンダルとの対峙のシーンはかなりわくわくした!しかしこの後どーなるのか?よもやあいつがあんなところで出てきて、実はあんなヒミツが・・・・ あぁ、書けない!

早川書房 2007

もう一つの王国 グイン・サーガ 113
もう一つの王国 グイン・サーガ 113 – Amazon