田口ランディ – モザイク

やっと読んだランディ氏のこの本。この人の文章は濃い。内容もそうだけれど、表現の質が濃い。スピードがめちゃくちゃ速い。とくにこの本では文章に切羽詰ったようなスピード感と質量が感じられる。一度読み出すと止まらない。

もちろんフィクションなわけだけれども、ほんとにフィクションなのか?と思ってしまうのはなぜ?”いかにもありそうな話”だからというわけではなく、それはランディ氏の中にあるリアルな話だからか?いま、もしかすると、渋谷で本当に起こってることなのかもしれないと思わせる、鬼気迫る気迫がこの本にはある。

世間でいわゆる精神病というレッテルを貼られている人たちへの理解と観察、そして描写がすごくおもしろく、感心させられた。常識(と経験)でしか人間はものを考えられないけれど、もしかすると、その常識とおもってる、それで構成されている世界というのは、単に全体の一部に過ぎず、それ以外の世界が常に平行に存在しているのに、いわゆる大多数の人々のための社会システムによって、それらが切り捨てられ、切り分けられ、理解されずにいる、というのが事実であるかもしれない、というのは、考えても考えても本当はどうかわからないが、否定できることでは決してない。そんなことを考えると不安でおかしくなってしまいそうだ。

幻冬舎 2003

田口ランディ - モザイク
田口ランディ – モザイク

白土三平 – カムイ伝

またまた古本屋で見つけたこのセット。フツーこんなん買わないか。でも昔、学校(高校だったか)に外伝のほうがあって、それを読み漁った(でも当時は面白いと思えなかった)うっすらとした記憶があるのだが、それをおもいだし、古本屋にまとめて売ってるのをみたら、そら買いますがな。大人買い。全21巻。でもこんだけで、まだ第一部(3部まである)。

いまではこんな時代背景(1600年代半ば)の物語を当時に使われていたであろう身分やそのほかのコトバ(いまは確実に放送禁止よね)をつかって、すごい事細かに描いているという点、時代の考察、深い人々の思い、そして封建社会のゆがみ、などなどを見事に描いている、そのへんの時代小説よりよっぽどおもしろい。ただの忍者漫画じゃないのよね。テレビで放映していたカムイとは全然違う。

さすが白土三平、すごい。

随時おりこまれる、人間社会と動物社会の対比なんぞもおもしろいのだ。

小学館 1971

江國香織 – ホリー・ガーデン

ひさびさにレビュー。江国さんの本はとにかく読むのに時間がかかってしまう。いや、難解だとか、やたら分厚いということではないのだけれど、前から思っているように、この人の文章はとっても行間が多くて、ひとつのシーンを読むのに想像力をフルに生かして(というと聞こえはいいが、たんにぼーっとイメージが沸くのを待ちながら)読むので、時間がかかってしまうのだな。他にもそういうひといる?

主に男女2組の恋愛模様+まわりの人、という構図で描かれる、なんでもない毎日の情景なのだけれど、もしかすると話がすーっと通らないのを好まない人には、この話はいーーっってなるかも。あまりにも何も起こらないし、ほとんど進展しないから。ありふれる日常。

でも、江国さんの文章はそのなかでのほんとこまやかな、コトバで表現するのがとっても難しい、ほんとちっさな感情や気持ち、様子などを、もっと違った直接的でない、狙ってもない、ちょっとした情景描写なんかを紡いで描くので、確かに「そうそう」と思えることばかりなのだけれど、それを読み取るのが難しいように思える。でもそういう表現方法がいちばんあってるよな、と読みながらに思う。

ゆっくり読む本だ。

新潮社 1998

江國香織 - ホリー・ガーデン
江國香織 – ホリー・ガーデン

ハリー・ポッターと炎のゴブレット

はい、早速行って来ました。といっても公開から1週間は経ったけれど。土曜日夜にいったのだけれど、結構空いてた、人気薄?

個人的には今回の作品がいままでで一番おもしろい。前作で確か監督が変わったのよね?で、そんときに「映像も感じもだいぶかわったなー」と思ったけれど、今回もその感想が強まった。1,2作目とは明らかに違うもん。世界観は似てるけれど、出し方というか、醸し出し方?が違うような。

でも今回はずっとシビアな感じじゃなくて、子供も笑えるようなシーンも多々あったり(よく笑うお客さんが後ろにいた)して、年齢層広く楽しめる感じかも。でも基本的に大人向けよね。めちゃ楽しめたもん。

あと、年々この手の映画のCG技術があがってるように思える。映像作る人のセンスにもよるのかもしれないけれど、映画全体としてCGとリアルの融合が見事で、まだよく見ればCGかなーと思うようなところもあるけれど、いやー、よーできてるわー、ひたすら感心。

3時間弱ぐらいある映画で、さすがにくたびれた(ネタ的には1.5話分ぐらいあるんちゃう?)けれど、いやー、おもしろいわー。

しかし、ハリーの髪型はださい。眉毛太すぎ!(笑)

2005 アメリカ
2005年11月26日 公開

ドラムライン

劇場に見に行きたかったけれど、行きそびれた作品(結構あるよな)。やっとDVDでみまひた。

話としては単純だし、別に特にといってとっぴなことがあるわけでもない。ごく普通の青春モノ(というのか?)だけれど、ドラム(およびドラム隊)には、正直しびれてしまいました。だってめちゃめちゃかっこいいもん。いや、かっこいいというより、クールでホット。どっちかいうと、クラシックでもない、素人にはブラスバンドのはでなやつか?とかそれくらいの意識しかないのだけれど、いや、これ、すごい、単純に技としてもすごいとおもうけれど、そのショー的要素が素晴らしく(きっと映画のためだからというのではなくて、実際にもっとものすごい世界があるに違いないと勝手に思い込み)て、目が点になってしまった。

スネアも極めればここまで単独でかっこいいか。うなってしまうわ。

でも、やっぱり多人数のバンドってのはグルーブものはだらっとしてしまうので、なかなか苦笑いなところやな。限界がやっぱあんのかな?それに比べ、ドラム隊はビシバシで、爽快やった。

欲をいえば、主役がもっと活躍してほしかった。

となりのトトロ

実はこの映画はテレビでしか見たことなくて、それもずいぶん前に見たきりだったので、ずっと見たいと思っていたのだ。ようやく見れた。DVDバンザイ。

ジブリ作品というか、宮崎監督の描く映画の世界(とくに日本やそれに似た土地を舞台にしているもの)は、昭和3~40年代のようにも見えるし、もしかすると現在どこか田舎にひょっとして存在してるんじゃないかーと思わせるような、そんな懐かしいあたたかな風景に満ちている。この作品で描かれている場所もすごくそんな感じ。年をくったせいか、そんな部分にすごく郷愁を感じ、涙ぐんでしまう。涙腺ゆるくなったなぁ。

改めて見てみて、ジブリ作品のなかでも一番か二番目に好きな作品と思う。話どーのこーのじゃなくて、単純にあったらいいなー的な夢を与えてくれる、そのシンプルさがダイレクトに伝わってくるから。トトロやまっくろくろすけ、ねこバスなんかがほんまにおったら、なんて素敵なんやろ!と単純に思ってしまえるほど、作品の中に没頭してしまえる。楽しい。幸せ。すごく単純に幸せを感じられる。

広っぱで泥んこになりながら走り回る、そんな子供のいる家って、いいなぁ。いいなぁ。いいなぁ。

望月諒子 – 殺人者

最近ミステリーばっかり読んるけれど、これはかなり面白いと思う。ミステリーというだけでなく、やるせないというか、犯人の背負ってきたものが直接的でなく、真相を明かされるとともに明らかになっていく点とか、幾重にも周到に用意された殺人劇の見事なつながりかたと、最終的に立証できないで終わってしまうという話の展開がとても面白い。結構枚数あるほうだと思うけれど、話が一直線でなく、いくつものショートストーリーをまとめて、ひとつ終わるところに次のストーリーのはじまりがあり、というような構成で、最後まで読んでしまう。

結構重たい気分になってしまうが、間違いなく面白いと思う。

集英社 2004

望月諒子 - 殺人者
望月諒子 – 殺人者

江川達也 – BE FREE

めちゃめちゃ久しぶりに読んだ。やっぱり面白い。ただのエロ漫画という話もあるが、それ以上に面白いとおもうんだけどな。

後半のもうただ勢いだけ、思いつきだけで展開させたんちゃうかーというようなストーリーの転げていき方・勢いには脱帽。

最近作者はよくTVにでてるが、この本の著者近影は別人かと思うほど細面だ。

デンジャラス・ビューティー 2

だいぶ前にシリーズ一作目を見たので、実のところ前の話をまったく憶えていなかった。憶えていたのは主人公のFBI捜査官グレイシー・ハート(サンドラ・ブロック)が鼻をんごんご鳴らすのがおもろい、ということだけだったのだが・・・・。

前作で顔が売れてしまったためにFBI捜査官としてめちゃやりにくくなってしまった彼女が、彼女の友人であるミス・アメリカを救うという話だけれど、今回もサンドラのいい感じのキャラが立って見ていて飽きない。べっぴんなのになぜか大阪のおばちゃん的キャラで、でも頭は切れる、でもなぜかちょっとドジくさい。今回の相棒役の人とのコンビもデコボコぽくて面白い。いいキャスティングだと思う。

後半のそっくりさんショーのシーン、もうちょいおもいっきりやってくれるともっと笑えたかなあ~。

土屋ガロン, 嶺岸信明 – オールド・ボーイ

8巻まとめて借りて読んだ。韓国映画として同名の映画になったものの原作。

おもろい。最近活字もよくミステリー読んでるけれど、漫画もおもしろいな。主人公のなんともいえんハードボイルドでもなくさや男でもないぐらいのキャラがいい。全体の筋もごちゃごちゃしてなくて、いい。

ちょうど刑事コロンボシリーズのように最初に答えがわかっててそれを如何に謎解きするのか、というようなものと似ていて、主人公が目的とする人物が早い段階で現れるのだが、謎解きは謎をとくほどに深まっていき・・・・という最後までどうなるかわかんなくておもしろい。結論も結局は・・・・・

一気読みした。全8巻

双葉社 1998