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2016-02

江國香織 – 金米糖の降るところ

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だいぶ前に読んだのでこれも備忘録的に。

アルゼンチンの日系人の街で育った姉妹佐和子とミカエラ。なんでも共有していた彼女たちはやがては恋人まで共有し、それを誓い合う。しかし日本に留学した姉・佐和子は大学で知り合った達哉と結婚した。それは佐和子が共有を唯一嫌がった男だった。幸せで充実した家庭を築いていた達哉と佐和子だったはずなのだが、ある日突然佐和子は離婚届をのこして故郷へ帰ってしまう。それを追う達哉だったが、佐和子には新しい結婚相手がいた。。。

佐和子の少し不思議な半生にのめり込んでしまうこの物語。気持ちがわかるようなわからないような、女性だったらもっとわかるんだろうか。適度にプレイボーイの達哉は理想的な相手で、それをも認めていたはずの佐和子だったのに、彼女が達哉から離れてしまったのは、ミカエラとの約束(というか子供の時からの性分)が原因だったのか。ゆっくり読んでいたので実はあまりわかってない。ミカエラはミカエラで複雑な半生を歩み、彼女の父親が明かされない娘もややこしいことになってる。でも江國さんの語り口で読んでいると、深刻なことでさえ、そういうものだから仕方ないし、それはそれこれはこれ、というように絶対に本当にダメなことにはならない、というような気がしてしまう。実際はすごくややこしいのに。もしかすると冷静に眺めればほんとうにダメになってしまうような事態というのはそうそうないのかもしれない、とまで思えてしまう。

こうやって書いていること自体もなんのことやら。ただただ男女の情愛と生活、どうしようもない誰もが根底に持つ性分の醜さとそのあきらめ、そして所詮それらは日常の時間のなかに普通にただあるものなのだ、という、まるで暑い陽射しの日の午後2時がただたんに暑いけど仕方ないね、というような空気感に包まれる。まるでこの物語の舞台のブエノスアイレスのように(行ったことないけど)。

小学館文庫 2013

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石田衣良 – 赤・黒(池袋ウエストゲートパーク外伝)

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久しぶりに読んだ石田さん。もうだいぶ前に読んだからうろ覚えなんだけど、備忘録的に。

IWGPシリーズの外伝。今回は真島くんはでてこない。映像ディレクターを生業とする小峰が飛びついたやたらと率のいいバイトはカジノの売上金の強奪だった。その強奪は難なく成功するのだが、その仲間の一人に裏切りがでて金は奪われるわ、発注主は死ぬわ、自分はカジノの元締めに引っ張って行かれるわと散々な目にあい。金を取り戻せなければもう二度と表の世界に戻れない事態に。顔もよくわからないその裏切った仲間を探す。それを手伝うのはカジノの元締めの組にいた通称サル。このコンビはなんとかやつを捕まえることができるのか?そして彼らは博打を博打で返す手にでる。。。

いつも真島くんに隠れて目立つことが少ないけれど、このサルもだいぶいいやつだなあと思う。人情あるというか。たまに足を踏み入れる池袋のこの西にある広場に彼らがいないかなといつも思ったりするけど、ここまでかっこいいやつはなかなかいないなあ。

相変わらず石田さんのこの一連のシリーズはクールな感じ。でもいまはちょっと前の感じもするけれど。いまはどこも外国人だらけになってしまった。

文集文庫 2006

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有川浩 – 三匹のおっさん ふたたび

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有川さんの「三匹のおっさん」の続編。自ら自警団のようなものを組んで夜な夜な活動する還暦を過ぎたおっさん三人。剣道の達人キヨ、柔道の達人シゲ、そして妙な道具ばかり開発しているノリ。今回も三人が街の騒動をどう解決していくのか?

クーリングオフにまつわる金銭トラブル、とだえてしまった昔からある街のお祭りの再興、独り身のノリにお見合い?!今回も本当におもしろいドタバタが繰り広げられ、三人の知恵と勇気、そしてなぜかほっこりする展開に読んでいてうれしくなってしまう。みんながこういうおっさんになれたら、世界は平和になるのになあとか思ったり。そうそう、”偽三匹”まで登場したり。文庫本だけがこうなのかわからないけど最初に漫画がついてて、最初あれ?漫画になったの?と思ってしまったが、それは序章だった。

最初の「三匹のおっさん」を読んだのがもう三年以上前なので、この物語の勘が戻るのにすこし時間かかっちゃたのだけれど、それは前の本の世界を覚えてる前提っぽい話のスタートだったので、読む前にちょっと前のんをぱらぱらめくっておけばよかったかな。

新潮文庫 2015

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恩田陸 – 光の帝国(常野物語)

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恩田さんはずいぶん前に「ライオンハート」を読んだことがあるだけで、とても久しぶりだったのだけれど、この「光の帝国」はすごく読みたかった本だった。以前誰かがとても面白いといっていたのを聞いたので。

ぼくは結構本の世界に没頭できるタイプで、読み始めるとすぐにその物語がまるで映像のように(実際に見えているわけではないけれど、現実世界とはちがう物語の世界が見えているかのような感じがする)感じられることがままある。そうなるともう文字を読んでいるという感覚はなくて、ページをめくった瞬間からその世界にいるような感じになってしまう。

この本は読み始めからいきなりその感じだった。架空のお話であまり細かいディテールがなくて、それでもある特定の雰囲気の世界観があるから、もともともっているイメージと重なりやすかったからかもしれない。

常野という場所から来たと言われる不思議な能力をもった一族のお話。能力は人によりいろいろあるが、遠くのことが見えたり、聞こえたり、早く移動できたり、先のことがわかったり、いわゆる超能力という類のものだけれど、SFぽい感じではなく、もうすこしおとぎ話の中ででてくるような少し変わった人たち。いろんな時代で彼らの能力が生かされたり、そのために迫害されたり、戦いになったり。でも彼らは基本的に穏やかであり、知的で、権力を持たず、群れず、常に在野にありつづけるという精神をもっている。

この本は10の短編から構成されているけれど、あとがきで恩田さん自身が書いているように、”いろんな人物を出したがために、いちいち違う話にせねばならなくなり、もっている札を全部出した”そうで、どの短編も違う顔をしていて面白い。どれもがその話からもっと先の広い世界へと広がっていきそうなものばかりで、いちいち続き読ませてほしいなと思ってしまう。でもそのバラバラの話をやがてうまくまとめているあたりはさすがだなあと。

ごく個人的な乾燥だけど、最後の短編で音楽にまつわるエピソードがいろいろでてくるけれど、かなり考えさせられてしまう内容だった。音楽のありようというか、自分の音楽への関わりようというか。うーん。恩田さんどんなことを知っているんだろう。

集英社文庫 2000

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[猫日和]2016.2.22 猫の日

2.22は猫の日です。うちのは二匹とも息災です。いつまでも元気でいてね。

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